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nicosmic life --- 心理占星術と未完成な日々

私たちは誰でも宇宙のエネルギーを利用することができる
心理占星術に対する誤解
大阪で講座やセミナーを主催している知り合いに、心理占星術を基礎から教える講座をやっているという話をしたところ、「最初から心理占星術を学んだら、普通の占星術が読めなくなるんじゃないの?」と言われた。
私は心底驚いた。
「普通の占星術ってなんだ?」
「心理のない占星術って何があるんだ?」

サインを理解するには、明らかに心理的解釈が必要だ。
「牡羊座のあなたは、子供のようなピュアな心を持ち、勇敢で決断力があり、時に自分勝手で衝動的」
これって、心理的背景そのものではないのか?
では水サインのハウス4,8,12ハウスなどは、どのような解釈をすればいいのだろう?
祖先、家族、借金、遺産、牢獄、幽閉?
または、普通の占星術はトランスサタニアンをどうとらえるのか?
神の意志のみで人々は突き動かされていると?

心理的考察を加えない解釈が占星術に果たしてできるのかどうか、私はとても疑問を感じる。
ここには何か大きな誤解があるのではないだろうか?
そもそも、いつから普通の占星術VS心理占星術の対立ができたのか?
そこに大きな差を見出せない私には、その原因が皆目分からない。
もしかしたら、心理占星術という言葉そのものに抵抗を感じている人もいるのではないだろうか…

では、なぜ私が心理占星術にこだわっているかというと、心理占星術的視点でホロスコープを見るようになって、初めて私はクライアントの立場に立って鑑定することができるようになったからだ。
つまり、それまで私は、ちっとも上手にチャートが読めなかった。
2ハウスがお金や所有物、才能の豊かさを示すだけではないと知った時、クライアントの真の悩みや彼らの人生の可能性を知ることができた。
こんな経験もした。
あるイベントで11ハウスステリウムのお客さんが来た。
まだ駆け出しだった私は、11ハウスに5天体(太陽、月、水星、金星、木星)あるチャートを読むことに苦戦していた。
「友達は?」「サークル活動は?」「人道的活動への志向は」「副業は?」「未来に対する展望は?」などとトンチンカンな質問を続け、彼女を完全に失望させてしまった。
彼女は長いこと引きこもりの生活をし、友達もなく、未来に何の希望も持っていなかった。
私は結局、最後まで有用な言葉を何ひとつ彼女に伝えることができなかった。

今だったら、彼女に少しはマシな鑑定をしてあげられるかもしれない。
ティルのハウス間の緊張のネットワークがわかっていれば、あのステリウムは父親に認められたい、愛されたいという心の訴えであり、そしてその結果の理想主義的逃避であったというのが理解できたはずだ。
私は彼女の飄々とした印象に惑わされ、彼女が心底悩んでいることすら気付いてあげられなかった。
この体験が、私を心理占星術に導く大きなきっかけになった。

実際これまでも、心理占星術に対する反発の声を数多く聞いた。
心理占星術は古典的な占星術と違い「現象面をはっきりと断言しない」「曖昧でわかりにくい」「クライアントに対してはっきりとした提案ができない」ということらしい。
確かに、「あなたは旦那を剋する相を持っている。だから旦那は出世しないんだよ」などと、四柱推命のような宿命論的な断言を心理占星術はしない。
心理占星術は、今抱えている問題を彼らの幼少期の体験に、または彼らの抱えている心の滞りにフォーカスする。
「相」のせいにはできないのだ。
そういった意味で、心理占星術は人に逃げ場を与えないのかもしれない。
土星や冥王星のトランジットは「避けることのできない不吉な出来事」ではなく、土星ならば自分に足りない社会性を補う作用であり、冥王星なら自分の内面の力をつけるための学習であると考える。
占星術をまったく知らない人たちは、それを当たり前のこととして捉え、コツコツと人生をやっているよ。
占いに希望を託している人たち、または占いに言い訳を持たせようとしている人たちこそ、心理占星術に胡散臭さを感じるのかもしれない。
自分の子供のチャートに母親問題、父親問題を見つけるのは苦しいだろう。
だから、ヒステリックに心理占星術を嫌うのだ。
自分の抱えている問題は「相」ではなく、自分の人生のひとつの結果でもある。
自分と向き合わずして、満足いく答えを見つけるには人生は相当厳しい。

心理占星術はもちろん心理学がベースになっているのだから、その基礎知識はあったほうがいいに決まっている。
ティルセミナーで私の仲間が「心理学もやっていないのに心理占星術なんて名乗るなと言われた」と言っていた。
そのために大学で心理学を学び始めたという。
クライアントの心を扱うということを考えたら、カウンセリングの訓練も必要かもしれない。
けれど、私はそれもひとつの誤解だと考える。
私たちがやっているのは占星術的アプローチであって、やはり心理学とは違う。
占星術をアカデミックな分野まで引き上げようという欧米の試みはわからなくもないが、私は占星術の醍醐味はそこにはないと思っている。
占星術は、天空で起こっている現象を地上に下ろすコスモロージー(宇宙論)だ。
夢とロマンとオカルトがつまった学問だ。
そこを踏まえていれば、むしろ危ない橋を渡る危険もない。
どこからがアカデミックな心理学的領域なのか、どの辺がクレームを言われることでビクビクしなければならない領域なのか、それを知るために心理学を勉強するのもアリかもね。
おそらくクレームを言う人がいるとしたら、それは心理学に権威を占星術に恐れを感じている人だと思うけど。

私には心の問題を抱えていた家族がいるので、精神分析や心理学のもどかしさも多少は知っている。
心理占星術の素晴らしさは、たったひとつのホロスコープを挟むだけで、彼らの心がまるでレントゲンで映し出したように浮かび上がってくることだ。
こちらがそれを深く理解できれば、むしろ心理カウンセリングよりも弊害は少ない。
彼らの抱えている問題をもっと丁重に扱うことができる。
もし心理占星術に不安を感じている人がいたら、少し視点を変えてみるといい。
私たちが扱っているのは、心そのものではなく、クライアントの心が反映されているかもしれないチャート図だ。

ちなみに、タロットカードも心理学的な要素が満載だ。
魔術で使われること自体、個人の心理的成長の発達プロセスなのだから。
むしろ、そのように見たほうがタロットカードも面白い。

とにかく、自分に足りない面があったら補う。
そして自分の仕事に誇りを持つ。
それ以外のことは、今の私にはよくわからない。

私の講座ではとりあえず、どうクライアントにアプローチしたらいいかまでフォローする。
そこまでが心理占星術の学習だ。
でも、私は心理学を教えることはない。
やっているのは天体やサイン、アスペクト、ハウスをより心理的に読むだけだ。
そうでなければ、どう11ハウスのステリウムを読むことができるようになるというのだろう?
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